お子様の心が健やかに育つ!? お花見のススメ
- 今年も桜の開花シーズンが近づいてきました。皆様はお花見をする予定はありますか?和文化研究家で「行事育」を提唱している三浦康子先生によれば、実はお子様と一緒にお花見をすることにはメリットがたくさんあるんだそうです。
- 楽しいお花見が子育ての役に立つなんてうれしいですよね。一体どんなメリットがあるのでしょう。詳しく聞いてみました。
教えてくれたのは
和文化研究家 三浦康子先生
巡る季節の行事が、幸せな記憶を繰り返し呼び起こす
- 桜の開花シーズン、親子でお花見をする方も多いと思います。お花見にはどのようなメリットがあるのですか?
- 実は、お花見という春の定番行事を通じて、お子様に愛情を伝えることができるんですよ。
お弁当を広げて満開の桜の下で過ごすひとときは、幸せがいっぱい詰まった素敵な思い出になりますよね。
毎年このような行事が繰り返されると、お子様は愛されている実感を覚え、親子の絆を強くすることにつながります。お子様が大きくなるにつれ親子で過ごす時間が少なくなり、やがて自立していきますが、愛された思い出は心の支えとなるでしょう。
季節の行事は毎年巡ってきますから、毎年その時期がくるたびに思い出がよみがえってくるのが特徴で、私はこれを「思い出ボタン」と呼んでいます。
お花見が家族と過ごした幸せな記憶に結びついている場合、これから先も春が来て桜が咲くたびに「思い出ボタン」が押されて幸せな思い出がよみがえります。これはお子様のみならず親も同様ですから、絆を感じる幸せな思い出は一生の宝ものになるでしょう。
- なるほど!巡る季節と幸せな思い出が連動することで、親の愛情や家族の絆を繰り返し感じることができるんですね。
お花見は横のつながりも強くする
- また、お花見は家族以外の人達との結びつきも強くしてくれる行事です。お花見は友人や地域の方々、職場の方々と行うことも少なくありませんよね。これが、お子様をとりまく横のつながりを強くしていってくれるんです。
日本の行事には、折々に「縦の絆」と「横の絆」を結んで、暮らしの基盤を整える役割があります。たとえば、親族を中心に集まることの多いお正月は「縦の絆」を強め、地域の人達と行うお祭りやお花見は「横の絆」を結んでくれます。最近は横の関係を煩わしく感じる方も少なくないようですが、多様な人々と支え合える関係を築くことはお子様が生きていくうえで大切なことのように思います。
最近の報道で被災地の方々が以前のようにみんなでお花見をしたいと仰る様子を見るたびに、行事文化の力を実感します。
- なるほど、お花見をしながら周囲の人たちと交流をすることで、社会的なつながりを強くしていくことができるのね。家族以外にも助け合える関係をつくることは、確かにお子様を守ることになりますね。
和の文化と季節の風情を体感し、豊かな感性を育てる
- さらにお花見は、和の文化を身近に感じられる行事の一つです。お花見にちなんだ食べ物を味わったり、桜の花の塩漬けにお湯を注いだ桜湯や抹茶を淹れたり、一句詠んでみたり。春の陽気の中、和の風情を味わうことは大人でも心躍りますよね。小さいお子様も、春の空気や美しい色彩、周囲の大人の表情などから、きっと何か感じるものがあるはず。このような風情を感じられる行事を体験することで、季節の移ろいや自然への感性が高まっていくでしょう。
お花見で心を豊かにするためのヒントその1
お米にまつわる料理を用意しよう!
お花見の起源の一つは、田の神様が宿る桜の木に米の豊作を願ったものです。お花見をすることの意味を伝え、お弁当にはお米を使ったお料理を持っていきましょう。
もちろん、日本のお米100%でできたおやつ「おこせん」もぴったり!
お花見の起源については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
https://otona-poripori.com/contents/osusume/vol_04.html
お花見で心を豊かにするためのヒントその2
買ってきたお弁当は、重箱に移し替え&風呂敷で包むと雰囲気満点!
出来合いのお弁当を持っていくときには、重箱に移し替え、さらにそれを風呂敷で包むだけで雰囲気が出ます。そして風呂敷をテーブルクロスのように敷いて食事をしてみてください。普段はあまり使わない和の道具を用いることで、お子様だけでなく大人の皆様も新しい発見があるのではないでしょうか。風呂敷の使い方を知ると、日常の道具の使い方も広がりますよ。
ハレの日が、お子様を元気にする!
- さらに行事はお子様を元気にしてくれます。
「ハレ」と「ケ」という言葉をお聞きになったことはあるでしょうか。簡単に言うと「ハレ」は行事や祭りを行う非日常、「ケ」は平凡な日常を意味します。普段は「ケ」の日常で暮らしていますが、それだけでは気力が衰え気枯れ(けがれ)てしまいます。すると穢れた状態になり、悪いものが入って来やすくなって、病気に罹ってしまうのです。これを払うのが「気晴らし」、すなわちハレの日です。行事や祭りを行うハレの日にはご馳走を食べたり、晴れ着を着たりします。すると気が元に戻って元気になり、またケの日常を過ごせるようになる。日本人はこうしてハレとケを繰り返しながら生きてきたのです。行事を楽しむことによって、子育てにより良い循環をもたらすこともできるわけです。
和の行事には文化があり、家族や周りの人々の幸せを願って行われてきました。このように文化と愛情がベースとなった行事を子育てに生かさないのはもったいない!そこで私はわかりやすいよう、「行事育」と名付けて推奨しています。
- なるほど、ハレの日ってちゃんと意味があったんですね! 私も子どもと一緒にお花見をして、ハレの日を楽しみたいわ。先生、ありがとうございました!
岩塚製菓のおすすめ
お花見に持っていくお子様のおやつは、日本のお米100%でできた「おこせん」がおすすめ!
もう少し大きなお兄さんやお姉さん、大人の方がたくさんいらっしゃるときには、甘くて軽い食感の「きなこ餅」や、外はかりっ中はほろほろな食感が楽しい「田舎のおかき」シリーズもおすすめ。ぜひお花見のお供にしてくださいね。
取材協力
和文化研究家 三浦康子先生
古を紐解きながら今の暮らしを楽しむ方法をテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、Web、講演などで提案しており、行事を子育てに活かす「行事育」提唱者としても注目されている。All About「暮らしの歳時記」、私の根っこプロジェクト「暮らし歳時記」などを立ち上げ、大学で教鞭をとるなど活動は多岐にわたる。著書『子どもに伝えたい 春夏秋冬 和の行事を楽しむ絵本』(永岡書店)、監修書『季節を愉しむ366日』(朝日新聞出版)ほか多数。