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子育て心理学 愛着形成ってどうやるの?

イワネン
お子様の健やかな精神を育てるためには愛着形成が必要だと聞いたことはありませんか?
ふーちゃん
そうね。でもそもそもどんなものが愛着と呼ばれて、どのように形成されているのかはよくわからないわ。
イワネン
そうですよね。ではさっそく発達心理学の専門家に聞いてみましょう。教えてくださるのは法政大学 文学部 心理学科の渡辺弥生教授です。

心を育てるうえで大切な「愛着」

子育て心理学 愛着形成ってどうやるの?

人は社会に出ると、他の人と適度な距離を保ちつつも、協力しあいながら自立して生活をすることが求められます。けれど日常的にさまざまな不安や問題を抱えていたり、他の人を信じられなくなったり、良好な人間関係を形成できない人もいます。そのような場合にしばしば指摘されるのが愛着の問題。愛着は心の形成の根本となるもので、人が育つうえで非常に大切なものなのです。

オムツを替える、お腹を満たす。赤ちゃんの基本的なお世話はコミュニケーションのはじまり

よく人間の赤ちゃんは他のほ乳類に比べて未熟な形で生まれてくると言われます。牛などの動物は生まれてすぐに立ち上がり自力で乳を探し当てるのに、人間の赤ちゃんは泣くことや眠ることぐらいしかできません。歩くまで1年、言葉を発するのにも1年かかると言われています。

しかし、近年の科学で人の赤ちゃんはすごい力を持っていることが明らかになりました。
赤ちゃんは出産直後から親を見て、舌を出すといった簡単な模倣(まねごと)をすることができるのです。

さらに赤ちゃんが泣けば親は「寒いのかな?」「お腹が空いたのかな?」と考えてあれこれお世話をします。実はこれはコミュニケーションのはじまり。赤ちゃんは何もしないようでいて、立派に意思疎通をはじめているのです。

愛着形成は赤ちゃんに応答してあげることからはじまる

赤ちゃんはむやみに泣いているのではなく、コミュニケーションのために泣いている。こう考えると、赤ちゃんが泣きはじめたらきちんと応答をすることが大切になります。

例えば、赤ちゃんが不快を感じて泣き始めたとします。たいてい親は関心が向き、「どうしたの?」と赤ちゃんのオムツを替えたりミルクを与えたりします。すると赤ちゃんは「嬉しい」という感情が現れ、微笑んだり心地良さそうな声をたてます。また、それに親は「そう、気持ちいいね」と応答する、といったように互いの心に愛情が循環しはじめます。
そのようなやり取りを続けていれば、赤ちゃんは自分に関わってくれる人を「頼れる」と感じ、やがて信頼関係が形成されていくのです。これが愛着のはじまりです。

赤ちゃんと良好な関わりができていると、1年ほどで心の絆ができあがり愛着が形成されます。

赤ちゃんが再会を喜ぶようであれば、愛着形成は健全

では、泣いている赤ちゃんに応答をしないとどうなるのでしょう。
泣き続ける赤ちゃんを無視したり叩いたり、赤ちゃんの泣きをコミュニケーションと思わない接し方をしていると、信頼関係の獲得は難しくなります。もちろん、家事などでしばし手が離せない間、泣かせてしまったということはあるかもしれませんが、基本的には、「ちょっと待ってね~」などと声をかけて赤ちゃんとやりとりしてあげようという姿勢が大切です。

愛着が獲得されると預けられても平気になる

愛着が健全に形成されると、赤ちゃんはだんだん心の中で親を信じて待つことができるようになります。目の前から親がいなくなると火がついたように泣いていた赤ちゃんも、2~3歳になると、親がお買い物に出かける時でも、おばあちゃんと一緒に「いってらっしゃい」と見送ることができるようになります。保育所や幼稚園にも「いってきまーす」と出かけられるようになります。一方でまだ愛着が十分に形成されていないと、分離不安が強くなり親から離れることを一層嫌がるようになります。

これは愛着形成が健全な赤ちゃんは、心の中に「内的ワーキングモデル」というものを持つからです。簡単にいうと、赤ちゃんが「お母さんやお父さんはどんなことがあってもとんできてくれる」というイメージを心の中に抱けるようになると、少し離れても安心して見送ることができるようになるのです。

大人になっても病気になったら駆けつけてくれる人がいると思うと安心して自立した生活を送れるものです。心の中に信頼できる人物がいるということは、それだけ寂しさに耐えられる力を与えてくれるのです。自分がいつでも戻れるような安全基地ができたという感じです。

愛着が形成されていれば、自発性、積極性も出てくる

こうして愛着が形成がされてくると、赤ちゃんは、探索的な行動が増えることもわかっています。心の根っこに信頼関係をもっていると、興味が外に向くようになるのです。周囲にあるモノやコトに好奇心を持ったり、お友達の方をじっと見たりと関わろうとしたりするようになります。親を安全基地にして、外部の物事に興味を持ったりすることができるのです。

指示的ではなく応答的になることが大切

健全な愛着を形成するためには何が大切なのでしょうか。
少し繰り返しになりますが、赤ちゃんの様子をよく見て関心を向けてやり、応答してあげることです。コミュニケーションが重要だと言われると、親御さんはついつい先回りをして赤ちゃんに働きかけることがあります。しかし先回りばかりして、親が思ったように赤ちゃんが行動しないと、親はイライラして怒ってしまう悪循環に陥ります。一方的に親が赤ちゃんに何か期待をしすぎることは、赤ちゃんにとってストレスになることがあります。「ミルクあげたのに、泣いてばっかり!!」といった具合です。それよりも、「あ、泣き始めた、お腹すいたのかな?」と赤ちゃんの自発的なアクションなどに応答するようにすると、赤ちゃんは自分の欲求が満たされて満足します。

さらにいえば、応答することは甘やかすこととは異なります。
甘やかすことは何でも子どもの要求どおりに応じてしまうこと。これに対して応答をすることは、要求に応えることもありますが、それができないときは「できない」と伝えることも含むのです。無視しないで関心を向けてやるということです。

人は関心を向けられたい

赤ちゃんに限らず、人は誰しも関心を向けられたいものです。イタズラをするのも実はそのため。褒められることはもちろんとっても嬉しいことですが、無関心よりは何かしらの反応を得られる方が安心するのです。

赤ちゃんに応答する際は、ぜひスマホから目を離して赤ちゃんの方を向きながら声をかけてあげてください。スマホを見たままだと関心の度合いが低いことは赤ちゃんにもよくわかります。
また、応答するためには関心を向けて様子を観察してやることが欠かせないでしょう。表情を見るだけでなく赤ちゃんの泣き方がどう変化したのかに注意を払えば、応答してやれることが増えていくはずです。

取材協力

渡辺弥生(わたなべ・やよい)

渡辺弥生

法政大学文学部心理学科教授。著書に子どもの「『10歳の壁』とは何か? 乗りこえるための発達心理学 」(光文社新書)、「まんがでわかる発達心理学」 (講談社)「中学生・高校生のためのソーシャルスキル・トレーニング スマホ時代に必要な人間関係の技術」(明治図書出版) などがある。

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