お箸は共有しちゃだめなの?ジュースは与えてもOK?教えて、赤ちゃんのむし歯予防のホント
- このあいだ知人に「むし歯の原因となる菌がうつるから、親が使った箸で赤ちゃんの食事の介助をしてはいけない」と言われたのだけど……実際のところ、それを避けるのってなかなか大変よね。こういうのって実際はどの程度控えなくちゃいけないんだろう。
- そうですよね。ついつい、やってしまう行動を控えるのはとても大変です。他にも甘いものはどの程度与えてもいいのか、歯磨きはどれくらい頑張って取り組むべきかなど、赤ちゃんのお口の健康のために本当にすべきことは何なのか、ちゃんと知っておきたいですよね。今回はそんな疑問を解消できるように、歯医者さんにお話を聞いてきました。お話しくださるのはこばやし歯科クリニックの木下英明先生です。
親が使った箸で、食事の介助をしてはだめ?
- 親が使った箸で赤ちゃんの食事の介助をすると、むし歯の原因菌がうつるって本当ですか?
- 残念ながら「うつらない」とはいえません。なので、箸の共有を避けることは完全に無意味とはいえないのですが……。赤ちゃんのお口の健康を守るためには、ママやパパにはもっと気にしてほしいことがたくさんあるんです。それらに比べれば、箸の共有は実に小さな努力なんですよ。
有力なむし歯予防方法は「フッ素で歯磨き」
- 一体どういうことでしょうか。
- まず、むし歯を予防するにあたって一番に取り組んでほしいのはフッ素の入った歯磨き粉で歯磨きをすることです。
赤ちゃんの歯が生え始めたら、すぐに赤ちゃん用の歯磨き粉を使って歯磨きをはじめてください。
フッ素濃度の目安は950ppm。これまで6歳までのお子様はフッ素濃度500ppmまでの歯磨き粉の使用が奨励されていましたが、2023年1月からは基準がかわり、より濃度の高い歯磨き粉の使用がすすめられるようになりました※。
もしもご自宅にある歯磨き粉にフッ素濃度が明記されていなければ、限りなくフッ素濃度の低い商品なので、買い替えることをおすすめします。
※1回分の歯磨き粉の使用量の目安は、0〜2歳のお子様は米粒程度、3〜6歳のお子様はグリーンピース程度です。
歯磨きを嫌がるお子様は少なくないと思いますが、歯磨きはフッ素を口のなかに運び届ける行動だと思っていただければ充分です。無理やりゴシゴシこすらなくても、歯ブラシを柄杓だと思って歯磨き粉をお口の中に運んでください。
赤ちゃんはまだすすぎができないので、歯磨き粉はジェルタイプがおすすめです。歯磨き粉をした後は、軽く拭き取りをしても構いません。うがいができるお子様の場合でも、あまりうがいはしすぎないようにして、できるだけお口のなかに長くフッ素が留まるようにしてください。
大人の歯にも大切なフッ素。うがいはペットボトルのキャップ1杯分の水で!?
フッ素は大人の歯もむし歯から守ってくれます。歯磨きの際は、奥の歯までフッ素成分が行き届くように磨き、うがいはペットボトルのキャップ1杯分の水で行うことが理想的です。口のなかにできるだけフッ素を留めておくことで、むし歯になりにくくなります。
甘いものは、歯の大敵
- 食事の内容もむし歯のなりやすさと関係があります。糖類が多い甘い食べ物はむし歯の原因になりやすいのです。
糖類をとるとお口の中が中性から酸性に傾きます。そのため、歯の表面を覆うエナメル質が溶け出し、むし歯になりやすくなるのです。
どうしても甘いものを食べたいときは、だらだら食べ続けるのではなく時間を決めて短時間で食べるのがいいでしょう。そしてできれば、食べた後に歯磨きをしてください。また砂糖がたっぷり入ったお菓子よりは、果物の方が低リスクです。
砂糖がたっぷりとはいったお菓子に比べれば、おせんべいはむし歯になりにくい食品といえます。お口のなかが健やかに保てるおやつを選んであげましょう。
取材協力
こばやし歯科クリニック
副院長 木下英明
現在東京歯科大学、東京医薬専門学校、東京医学技術専門学校の非常勤講師および株式会社ヨシダにてCAD/CAMセミナー講師として活躍中。