大妻女子大の学生と考える「主食」ってなんだろう?
- 日本のお米を100%使用し、砂糖も塩分も控えめな「岩塚のおこさませんべい」。 お子様の食欲がないとき、ご飯を嫌がるとき、外出時やご家族がお忙しいときなどには、「おこせん」を主食として召し上がっていただくことがあるようです。
- 食への興味が薄かったり、こだわりが強いお子様の中には「おせんべいしか食べない」という子もいるみたいですね。
「岩塚のおこさませんべい」の原料はほぼお米ですから、あまりご飯を食べることと大きな差はないとは思いますが、やはり「お菓子」を食事として与えることに抵抗感がある人は少なくないようです。
- そこで「おこせん」では、おせんべいを食事として与えることの是非を大妻女子大学の川口美喜子教授とゼミ生の皆さんと一緒に考えています。今回は、おせんべいを主食にすることの問題点を整理しました。
おせんべいを食事として与えることへの抵抗感
- 編集部
- ゼミ生の皆さんは「岩塚のおこさませんべい」を主食として与えることに抵抗はありますか?
- 8人中1人が抵抗感を持っているようです。
- 編集部
- ぜひ、理由を教えてください。
- 学生A
- やっぱり「岩塚のおこさませんべい」しか食べないという状況はあまりよくないと思います。主食としていつまでもこればかりというわけにはいかないはずですから……。
- 学生B
- 私は条件付きでOKだと思います。ただ、「岩塚のおこさませんべい」は1個装あたり24kcalとカロリーが控えめなので、乳幼児が充分なエネルギーを摂るためには結構たくさん食べさせなくてはなりません。だから他のものと合わせるのであればいいと考えています。
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確かに、いつまでも主食を「岩塚のおこさませんべい」にするのは今後さまざまな面で不都合が出てくると思います。けれど、乳幼児は食べムラを起こすもの。まずは「岩塚のおこさませんべい」を食べることを通して食事の楽しさを知ってもらえればいいのではないのでしょうか。例え完璧な食事を用意したとしても、それをきちんと食べるお子様はそれほど多くありませんから。
とくに、離乳食をはじめた時期やお子様の体調が悪くて食が細い日、また親の体調が悪くて食事を用意できない日などは「岩塚のおこさませんべい」に頼ってもいいと思います。
おせんべいを主食にするなら、肉や野菜を一緒に摂れるようにしよう
- 編集部
- 栄養面での不安はありますか?
「岩塚のおこさませんべい」が主食がわりであることを考えると、タンパク質やビタミン、ミネラルを摂れるものと一緒に食べてもらえるといいですね。前にも話しましたが、レバーペーストなんかをサンドしてみるといいと思います。
- 学生C
- 「岩塚のおこさませんべい」と一緒に食べるのにぴったりな料理を考えてみたいです。
- 学生D
- 野菜を載せて、海苔を巻いて手巻き寿司のようにして食べるのはどうでしょうか。
乳幼児が本当にそのような形で食べられるのかは検証が必要そうですね。
- 編集部
- クラッカーのように使用するということですね。そういえば、クラッカーは食事として用いられることがあるのに、どうしておせんべいはだめなのでしょうね。
イメージでしょうね。おせんべいを「お菓子」というカテゴリとは違うところにあるものだと考えられればいいと思うのですが。
サプリメントは薬ではないですが、足りない栄養素がある人は上手に取り入れることで健康増進に役立てることができます。「岩塚のおこさませんべい」も食事を食べない子のエネルギーを補うことができるものと認識してもらえるといいかもしれません。
食事とおやつの違いは?
- 編集部
- そもそも、食事とおやつ(補食)の違いはどこにあるのでしょうか。例えば、肉まんやお好み焼きなどは食事といえますか?かつてはおやつとして認識する人が多かったように思います。
シーフード味のカップラーメンに牛乳を入れたものを食事という人もいますね。このような食品にしろ、肉まんにしろ、お好み焼きにしろ、炭水化物とタンパク質が摂れていれば食事であると考えられているのでしょう。
お子様が食事によって得なければならないものは栄養だけではありません。主食・主菜・副菜や汁物を口に入れて、口の中で噛みながら口内調味をする食べ方を身につけます。それができることによって、とくに栄養バランスに優れた和食を食べることができるようになるからです。
- 編集部
- それでは、おこせんを食事に取り入れる工程でも、そのことは意識していかなければなりませんね。
そうですね。ライフスタイルに合わせた形で、お子様が「食べること」を発達させることができる方法を一緒に考えていきましょう。
取材協力
川口美喜子
大妻女子大学 家政学部 教授
大妻女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻卒業、管理栄養士取得したのち、島根大学医学部で博士(医学)学位を取得。専門はがん栄養、食育、スポーツ栄養、高齢栄養。
管理栄養士の卒後教育、在宅介護における食事の指導、新宿区の子どもたちを対象とした「食とスポーツ」の支援、千代田区在住者・就労者のための妊活食支援などを精力的に行う。
著書に『がん専任栄養士が患者さんの声を聞いてつくった73の食事レシピ』(医学書院)、『いっしょに食べよう フレイルを予防し、老後を元気に暮らすためのらくらくメニュー』(木星社)などがある。