顔を描いて命を宿す遊びのメッセージ
蝉の鳴き声もなんだか控えめだなぁと感じた今年の夏。
きっと今年の蝉は、その手足が焼けるような熱さの電柱に留まるよりも、幼虫の頃に過ごした涼しい土の中に帰省したいだろうなぁ……と思うくらい、暑い夏でしたね。
気付けばすっかり朝夕は涼しくなり、窓を開ければコロコロリーリーと楽しそうな虫の鳴き声が聞こえるような季節に。
スーパーに行けば私がいちばん美味しいのよ! と自信たっぷりの顔をして並ぶ瑞々しい秋の果物たち。
「ママ、リンゴ買って!」「いちご買って!」「みかん食べたい!」と、その季節、季節に果物を欲しがる子どもたちは、もちろん秋の果物も大好きで。
特にブドウが好きな息子たちは、指先と舌をムラサキ色に染め、我先にとブドウを口に詰め込み、そのほっぺたをリスのように膨らませて食べていて。
そんな子どもたちの様子を眺めることのできる、幸せな季節がまたやって来ました。
果物といえば、我が家では子どもたちがもっと小さな頃、まだ皮を剥く前のみかんやバナナ、リンゴなどにマジックで顔を描いて「みかんくん」「バナナちゃん」として子どもたちと会話をする遊びをよくしました。
たとえばみかんだったら、ヘタを頭としてみかんの皮に顔を描いて、ヘタの反対部分に中指をぶすっと刺します。
すると、みかんが顔、人差し指と薬指が手の「みかんくん」の完成です。
もちろん最後は子どもと一緒に皮を剥いて「美味しくいただきます」をするのですが、それまでのほんの少しの時間、マジックで顔を描くことで果物に命が宿り、子どもと楽しい会話を繰り広げることができました。
顔を描いて命を宿す、というやり方は果物以外にもよくやっていて、紙に描いた目を靴下に付け、靴下の中に手や指を入れて「パクパクくん」としてパペットのようにして子どもたちをくすぐったり、おしゃべりしたり。
「パクパクパーク♪」と言いながらお腹のあたりをパクパクくすぐると、普段履いている靴下が動き出すのがよっぽど面白いのかケラケラ大笑いしていました。
他にも、紙に描いた目をゴミ箱に付けて「ゴミ箱くん」を作り、「あ! ゴミ箱くんがお腹すいてるって言ってるよ! ゴミ箱くんにごはんをあげよう!」と言って、紙くずやティッシュをゴミ箱に捨てる練習を遊びながらしたり……。
靴も、トイレも、イスも、お菓子の袋も、牛乳パックも……普段使っている何の変哲も無いモノたちでも、目を付けてあげるだけでそのモノたちに命が吹き込まれ、子どもと直接会話をし、子どもに大切なことを教えてもらったりしました。
「ぼくを食べ過ぎたらお腹痛くなっちゃうんだモグー!」など、親が言うよりもお菓子の袋くんに直接言ってもらった方が子どもに伝わったり、「ぼくは怖くないよ! ◯◯ちゃん、いつでも遊びに来てね」とトイレやイスに目がついておしゃべりしてくれることで温かみが生まれ、恐怖心が和らいだり、親近感が生まれたりするのかもしれません。
子どもたちが成長するにつれ、命を吹き込む目を作ることはなくなってしまったけれど、「君に食べてもらえてぼくは幸せ者だよ」「最後までキレイに食べてくれたらとっても嬉しいな」「ぼくのことを食べてくれてありがとう!」「ぼく、君のことが大好きだよ」と、子どもたちと会話をしてきたたくさんのモノや食べ物たち。
スーパーに並ぶツヤツヤな果物たちを眺めていると、そんな昔の子どもとの遊びを思い出して、ふと懐かしくなるのです。
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締め切りは2018年12月2日(日)です。ぜひご応募ください。
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次回は1月更新予定です。お楽しみに!
執筆者プロフィール
LICO(リコ)作家/子育てアドバイザー
「子どものこころが穏やかに育つ魔法の育児法」のタイトルで40000人以上の読者を持つ、京都在住アメーバオフィシャルママブロガー。
「子育てを大変だと感じる本当の理由」「夜泣きをするきみへ」「ママの毎日」などの記事が爆発的な人気となり、シェアがネット上で120万を超えるなど、その等身大の育児観は圧倒的な共感を呼ぶことに。
各種キュレーションの2015年上半期アクセス数ランキングにおいて、ブログ記事が殿堂入りを果たす。
ブログを通じてつながったママ達へのアドバイスが話題となり、各方面への講演会出演依頼が続出。
2017年4月現在、6歳の娘、4歳、2歳の息子を育てながら、講演活動、育児雑誌や育児サイトなどへの記事連載など幅広く活動している。
著書に『おだやかママの幸せ子育て法』(シリーズ2冊)、 『不安なあなたがゆっくりラクになるメッセージ』(すべて主婦の友社刊)。