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グルテンフリーって子どもにも関係あるの?お医者さんに聞きました!

ふーちゃん
健康に気をつかって「グルテンフリー」を心がけている人が少なくないわよね。何がいいのか、悪いのか、子どもにも関係あるのか?正直よくわからないのよね。「岩塚のおこさませんべい」など、「おこせん」は小麦粉を使っていないグルテンフリー食品なのよね?
イワネン
ちょっと待ってください。グルテンフリーが必ずしも健康にいいことだとは限らないんですよ。みなさん、なんとなく耳にはしているけど、よくわかっていない人もたくさんいるようです。お子様の食と健康について詳しく書かれている『医師が教える 子どもの食事50の基本』(ダイヤモンド社)の著者・伊藤明子先生にきいてみましょう。

教えてくれたのは
伊藤明子先生

伊藤先生

小児科医、公衆衛生の専門医。赤坂ファミリークリニック院長。東京大学医学部附属病院小児科医。

グルテンフリーって子どもにも関係あるの?

ふーちゃん
さっそくですが、先生、教えてください。最近、グルテンフリーってよく耳にするのですが、よくわからなくて・・・大人にも子どもにも身体にとっていいことなんですか?
伊藤先生
風花さんの質問にお答えするために、これまでの調査内容に加え、2022年以降に発行された論文を改めて調べ、先行研究について調べてきました。グルテンの研究は今も続いており、グルテンは一部の人にさまざまな影響をもたらすことがわかっています。

結論から言いますと、多くの人にとっては、グルテンフリーはそれほど多くのメリットをもたらさないといえるでしょう。グルテンを摂取することで体調を崩す体質の方は実際に一部いますが、その体質の方以外がグルテンフリーにするのは、体調改善にはあまり役立たないようです。それどころか、意図的にグルテンを避けることはデメリットすらあるのです。

グルテンは小麦に含まれるたんぱく成分です。つまり、貴重なたんぱく源でもあります。成長期のお子様にとっても、たんぱく質は非常に重要な栄養素ですから、小麦からも摂取できるといいでしょう。厳格にグルテンフリーにしてしまうと、小麦だけでなくほかのタンパク源の摂取も減ってしまうことが研究でわかっています。

グルテンフリーで「体調が良くなった」と感じた人が増えたけれど……

ふーちゃん
それなら、なぜグルテンはこれほどにまで避けられるようになったのですか?
伊藤先生
グルテンフリーが話題になったのは、1950年代にグルテンが原因となって消化器に不良を起こす「セリアック病」が発表されてからです。当時は子どもに発症すると言われており(後に大人にも発症することがわかってきます)、グルテンが消化器に悪影響を及ぼすというイメージが広まりました。実際には、セリアック病は主に北欧系の人で発症する不調で日本などではまれにしかみられません。

しかし「グルテンを除去することで体調がよくなる」というイメージが広まった結果、どことなく「小麦食をやめたら身体の調子がよくなった」と感じる人が増えていきました。
そこへきて世界的に有名なテニスプレイヤーが「グルテンフリーを実践したことで体調がよくなり好成績を収めることができた」と著書で発表。グルテンフリーはブームとなり、さらに多くの人が実践し、体調が良くなったと感じるようになったのです。

多くの人はグルテンフリーにする必要はない

ふーちゃん
体調がよくなった人が増えたのなら、やはりグルテンフリーには意味があるのではないですか?
伊藤先生
未だ研究の途中なので言い切ることはできませんが、医学的には、小麦の摂取に問題がある人は全体の10%以下だと考えられます。
多くの人はグルテンフリーが身体にいいと信じたからこそ、そのように感じたのでしょう。「グルテンは身体に悪いんだ!」と思い込んだことで、グルテンを摂取すると体調不良を覚える「ノセボ効果」が生じた人がいる、という研究も発表されています。
ふーちゃん
それでは本当はグルテンフリーにこだわる必要はないのですか?
伊藤先生
多くの人は、グルテンフリーにこだわる必要はありません。ただし、本当に一部グルテンなどによって体調不良が生じる人もいるのでそこには注意が必要です。

食事は楽しく、偏りなく

イワネン
では、お子様の健やかな成長を願っているママ、パパは、どのような食生活を心がけるといいのでしょうか。
伊藤先生
偏っていない食事を楽しく食べることを心がけてください。
偏っていない食事というのは、ごく普通の食事のことです。健康に気を配る人ほど、グルテンフリーやマクロビ、プラントベースなどを取り入れることが少なくないのですが、こういった極端な食生活では大抵一部の栄養が足りなくなります。アレルギー等でないのであれば、何かを過剰に摂取したり、除去したりするようなことはせず、バランスの良い食事を心がけてください。

また楽しく食べることは、人生を豊かにします。食事は1日に3回、子どもであれば5回ほども摂るわけですから、楽しくなければ、日々の生活が苦行になってしまいます。
親御さんは、一生懸命作った料理をお子様に拒絶されたり、栄養バランスを考えた食事を用意したのに食べてもらえなかったりすると頭に血が昇ってしまうことがあるかもしれませんが、どうかあまり気にせず、楽しく食事を終えられるように心がけてください。
子どもは食べムラがあって当然です。あまり細かいことは気にせず、ポジティブでオープンな気持ちで食事時間を過ごしていただきたいと思います。

ご飯を食べないときには「おこせん」も活用して

イワネン
楽しく食事をしてもらうために「おこせん」をご飯がわりにお子様に与える人もいらっしゃいます。
伊藤先生
それも良いと思います。お子様の体調が悪いときなど、ご飯をあまり食べられないときには主食がわりになるのではないでしょうか。お出かけ先やイベントがあるときなども、ご飯がわりにできると思いますよ。

注意点があるとすれば、主食がわりとして食べる場合は、おせんべいだけを与えるのではなく、他のおかずと一緒に食べさせてみてください。そうすれば、必要な栄養をとることはできます。それから、空腹時に最初に「おこせん」だけを与えるのもできれば避けた方がいいでしょう。食べたあと短時間に血糖値が急上昇する血糖スパイクが生じるのを避けるためです。
子育て中は毎日が忙しく大変だと思いますが、ときには「おこせん」などを上手く活用し、楽しい食事時間を持てるように心がけてください。
イワネン
先生、ありがとうございました!
その他、お子様の食事に関する知識は、伊藤明子先生の著書『医師が教える 子どもの食事50の基本』(ダイヤモンド社)に詳しく書かれています。

医師が教える 子どもの食事50の基本

取材協力

伊藤明子

伊藤明子

小児科医、公衆衛生の専門医。赤坂ファミリークリニック院長。東京大学医学部附属病院小児科医。
NPO法人Healthy Children, Healthy Lives代表理事。
通訳の仕事をしながら二児を育て、40歳で医学部を受験し医師に。子どもの食を医学的な観点から研究しており、海外の学術論文から日々最新の情報をアップデートしている。

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