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食への感性をどう育てる? 「味」だけでなく「食感」も大事なポイント!

ふーちゃん
子どもには「豊かな人生を送ってほしい」と考えているけれど、結構この「豊かさ」って曖昧なのよね。「豊かさ」ってなんだろう?
イワネン
難しいですよね。本当に多様な考え方ができるとは思いますが、もしかしたら「食生活」も豊かさを支えるものになるかもしれませんよ。
ふーちゃん
豊かな食生活ってこと? 朝からいくら丼を食べるとか、ディナーはお取り寄せ食材を使うとか、週末にはフォアグラを用意するとか……。
イワネン
高級食材を用いることも豊かさの指標の一つですが、「美味しい!」「嬉しい!」と感じられる力がなければあまり意味がありませんよね。逆にいえば、「美味しい!」と感じる力があれば高級食材に頼らずとも食生活は豊かになっていくと思いますよ。
ふーちゃん
なるほど!たしかにね。じゃあ「美味しい!」って感じる力はどうやって養えばいいんだろう。きっとそれも食育の一環よね。
イワネン
そうですね。食に詳しい大妻女子大学家政学部栄養学科の川口美喜子先生にきいてみましょう。

美味しさを感じるためには、「味」「香り」「食感」が大事

食への感性をどう育てる? 「味」だけでなく「食感」も大事なポイント!

川口先生
これまでの報告から、フランスで発表された論文によると、食べ物の美味しさは「味」「香り」「テクスチャ」が重要なことがわかりました。もちろん見た目や情報も大切なエッセンスではあるのですが、とくにこの3つは大切で、どれか一つでも欠けると「美味しい」とは感じないのです。

実際に「味」と「香り」が大切であることは、もはや疑いようがないことだと思います。行き過ぎた辛み、苦味、酸味、甘みなどでは快を感じませんし、足りなくても「美味しい」とは感じにくいです。
「香り」に関しては、新型コロナに感染して実感した方もいらっしゃるかもしれません。「香り」を感じなくなると、食べ物は美味しくなくなるのですね。これによって食欲が落ちたと言う人も随分みられました。

興味深いのは最後の「テクスチャ」すなわち「食感」です。舌触り、歯触りといったものが美味しさには大きく影響しているのです。
ふーちゃん
食感ってあまり意識したことなかったかも……。
川口先生
私はかつて病気によって嚥下(飲み込み)が困難になった患者さんへの食事づくりを担ったことがあります。すべての食材をゼリー状にして、味にも香りにも見た目にも気を配ったものを用意したのですが、あまり食べてもらえませんでした。食感が同じだと、何を食べても同じように感じられて美味しくないというのです。

美味しさを感じ取るためには「食感」が大事――。これはどうやらこれからの食育のポイントとなっていきそうです。

様々な「食感」を知ることで美味しさへの感性を育てる

ふーちゃん
「食感」が大事っていうのは意外ね!
川口先生
最近好評な市販のお菓子は、ふわふわ、とろ〜りなど「柔らかさ」や「なめらかさ」をセールスポイントにしています。人気のレシピもチーズをたっぷりつかったものなど「とろり」としたものがたくさんありますよね。多少硬さのあるものでも「パリパリ」と数回噛めば飲み込めるものが多いように思います。

これらの食感をもつ食べ物が悪いわけではないのですが、そればかりでは「食感」に対する感性はなかなか育っていきません。食への感性を育てるためには様々な「食感」を知り、経験していく必要があるでしょう。特に、バリバリ、ガリガリ、ボリボリといった音を立てる強い歯ごたえの食ベ物は最近減少傾向にあります。意図してこれらを取り入れることで、多様な美味しさがあることを知れば、人生における食体験はより豊かになっていくのではないでしょうか。
ふーちゃん
私も「とろ〜り」は大好き。でもたしかに、それだけじゃ面白くないかもしれないわね。
川口先生
日本と同じように「食」を大切に考える文化のあるフランスでは、食への興味をかきたてるために様々な食を体験するためのレッスンが開かれています。そこでは当然、味、色、食感、香り、様々な要素をもつ食を知ることができます。たくさんの食材にふれることで視野を広げさせ、食への感性を高めているのですね。素晴らしいことだと思います。

食への興味は、生きる力につながっていく

川口先生
食感を楽しむことは、食を楽しむことにつながってきます。そして食事への興味が深まることは、生きることへの興味・希望にもつながっていくのです。 私は病院で働いていたとき、病気で長く入院している子どもたちの姿も見てきました。病気になったとしても、食の豊かさ、楽しさ、面白さを知っていれば、食べることで元気になることができます。実際に、食事に関心がある子は辛い治療にも前向きであることが少なくありませんでした。「食べよう!」という思いが生きる力になっていくのですね。
ふーちゃん
食べることは、生きることね。
川口先生
「おこせん」ユーザーの皆様は、まだ離乳食を与えている途中の方が少なくないと思うので決して無理はさせないでほしいのですが、将来的には様々な食感の食べ物を与えられるよう、ぜひこのことを頭の片隅においておいてほしいと思います。

そしてお子様がいろいろなものを食べられるようになったら、食感の食育を通じてお子様の感性や生きる力を育んでいってくださいね。

取材協力

川口美喜子

川口美喜子

大妻女子大学 家政学部 教授
大妻女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻卒業、管理栄養士取得したのち、島根大学医学部で博士(医学)学位を取得。専門はがん栄養、食育、スポーツ栄養、高齢栄養。 管理栄養士の卒後教育、在宅介護における食事の指導、新宿区の子どもたちを対象とした「食とスポーツ」の支援、千代田区在住者・就労者のための妊活食支援などを精力的に行う。
著書に『がん専任栄養士が患者さんの声を聞いてつくった73の食事レシピ』(医学書院)、『いっしょに食べよう フレイルを予防し、老後を元気に暮らすためのらくらくメニュー』(木星社)などがある。

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