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いつからお友だちと遊べるようになる?子どもと遊び、発達の関係

ふーちゃん
最近ちょっと不思議に思っていることがあるんです。
イワネン
どうしたのですか?
ふーちゃん
お天気がいい日は子どもをできるだけ公園に連れていくのだけれど……砂場にいる子どもたちはみんなバラバラに遊んでいて、一緒には遊んでいないのよね。これはなぜなのかしら。
イワネン
それは、まだそこにいたお子さんたちが連合遊びや協同遊びができる発達段階に達していなかったのでしょうね。
ふーちゃん
レンゴウ? キョウドウ?
イワネン
子どもの発達に詳しい発達心理学の専門家、法政大学文学部心理学科の渡辺弥生教授に聞いてみましょう。

子どもの遊びには発達段階がある

生まれてまもないころの遊び

渡辺先生
生後まもない赤ちゃんは手足を動かしたり、気になるものを目で追ったり舐めてみたりして、自分の感覚を通して世界のことを少しずつ学んでいます。身体は不規則にバタバタと動いているように見えますが、よく見ていると時間が経つにつれて段々とその動きが制御されていくことがわかります。
赤ちゃんは見たり、聞いたり、触ったりと、環境の中のさまざまな刺激を感じて、少しずつ身体の使い方や周囲のモノやことについて 学んでいるのです。
ふーちゃん
このころの赤ちゃんは、すべての刺激が遊びになるようね。

0〜2歳ごろの遊び

いつからお友だちと遊べるようになる?子どもと遊び、発達の関係

渡辺先生
身体をある程度自分の意志で自由に動かせるようになってくると「機能遊び」が始まります。見る、聞く、触る、舐めると行った遊びのほか、ボールを投げるといった運動も含まれます。ひたすら同じことを繰り返しているように見えることもありますが、物事の道理をよく観察して理解しようとしています。
また1歳を過ぎるころになると、他の子どもに興味を示すようになってきます。「一緒に遊ぼう」と言えるようになるのはまだ先ですが、遊んでいる子を傍観者のように眺めるという行動をしはじめます。これも遊びの発達として考えられています。
ふーちゃん
他の子が遊んでいる様子をじーっとみつめることも立派な遊びのひとつなのね!

2〜3歳ごろの遊び

渡辺先生
このころになると象徴遊びが始まってきます。ブロックを電話に見立ててお話しをする真似事をしてみたり、積木を食べ物として扱ってみたりする遊びです。キャラクターの行動を真似して、ふり遊びも始まります。これは頭のなかにイメージ(表象)がつくれるようになった結果で、とても大きなステップアップ。人間はイメージを作れるからこそ、複雑な社会を形成していくことができたのです。ぜひ一緒に遊んでそのイメージを膨らませていってあげましょう。
また複数の子どもたちが寄り集まっているように見えても、よく見てみると互いに会話をして一緒に遊んでいるというわけではない遊びが見られるようになります。それぞれの世界に入り込んで一人で遊んでいるのです。これを並行(平行)遊びと呼んでいます。
ふーちゃん
私が目撃したのはこれだったのね!こういう発達段階だったんだ!

3〜4歳ごろの遊び

いつからお友だちと遊べるようになる?子どもと遊び、発達の関係

渡辺先生
子どもたちがお友達と「一緒に」遊ぶことができるようになるのは、3歳ごろになってからです。このころになると「スコップを貸して」「何をしているの?」などの簡単な会話を通して交流が始まります。これを「連合遊び」といいます。ただし、まだイメージ(表象)をうまく共有することはできないため役割分担はありません。
ふーちゃん
交流しているといっても、点と点の間に少しずつ線が引かれるイメージかしら?

3歳〜6歳以降の遊び

渡辺先生
そうですね。やがて一緒に遊ぶ仲間のなかに役割やルールが生まれ、会話が活発になり、イメージも共有できる「協同遊び」が始まります。ごっこ遊びのように、役割分担をするなど、子どもたちの集団が段々と組織だってくるのがこのころです。
ふーちゃん
いよいよしっかり一緒に遊び始めるわけね。

※遊びは段階を経て発達していくといわれていますが、切り替わりのスピードは個人差もあります。また、スポーツなどは大人のルールを教えているところがあるので、子どもたち自身が自然に環境とのやりとりを通して学び取っているものとは違うかもしれません。

連合遊びが始まるまでは、一人遊びで充分?

ふーちゃん
小さいころからたくさんのお友だちと交流させる方がいいと思っていたのだけれど、並行遊びをしているころはまだあまり意味がなさそうね……?連合遊びができるようになるまでは、それほど熱心に交流をさせなくてもいいのかしら?
渡辺先生
そうとはいえないかもしれません。子どもは周りの子たちの様子を見ながら成長していくもの。並行遊びをしているときは自分の遊びだけに熱中しているようにみえて、案外周りの様子を感じとっているものです。そのなかで、周りの子たちが協力し合う様子などを見て、連合遊びや共同遊びへと遊びを発展させている可能性があるのです。連続しないように見えても、発達は経験が積み重なって質的に変化していくものなので、無駄なことはないですよ!
ふーちゃん
じゃあ、例え子ども同士が交流しているように見えなくても、公園や児童館に連れていくことは無駄ではないのね!

みんなで遊ばせないとだめ?

いつからお友だちと遊べるようになる?子どもと遊び、発達の関係

ふーちゃん
一方で、他の保護者との交流が苦手で、公園や児童館へはあまり行きたくないと感じているお父さんやお母さんもいるみたい。
渡辺先生
無理をする必要はまったくありません。お父さんやお母さんの気分が乗らないのに無理やりお出かけをするのはやめておきましょう。お父さんやお母さんのガッカリ感や焦燥感、イライラが子どもに伝わって遊びたい気持ちが萎んでしまうので、保護者が無理なくできるようなことをしましょう。
チャンスがあれば、気持ちが弾みそうであれば、一緒に行って見ようか!くらいでいいのです。子どもにとっては、お父さんやお母さんと楽しい時間を過ごすことの方がまずは大切です。
今どきは「ソーシャルエモーショナルラーニング」といって、対人関係や社会で必要な態度を身につけることが話題になっていますが、こういった考え方のポイントは、何事もあまり無理しすぎたり、押し付けにならない方がいいのです。人とつながる力は楽しく安心できる雰囲気の中で身についていくものです。できることから、小さくゆるく人と繋がっていれば大きな問題にはならないのです。
ふーちゃん
なるほど。ありがとうございました。なんだかちょっと安心しました。あまり気構えず、子どもとの毎日をリラックスして楽しもうと思います。

取材協力

渡辺弥生(わたなべ・やよい)

渡辺弥生

法政大学文学部心理学科教授。著書に子どもの「『10歳の壁』とは何か? 乗りこえるための発達心理学 」(光文社新書)、「まんがでわかる発達心理学」 (講談社)「中学生・高校生のためのソーシャルスキル・トレーニング スマホ時代に必要な人間関係の技術」(明治図書出版) などがある。

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