おこせんオリジナル曲「わすれないで」に込めた思い
私は昔から、音楽を、とくに歌詞を味わうことが大好きでした。
子育て真っ最中の今は音楽を聴く時間を以前ほど持てなくなってしまいました。しかし、だからこそ、歌の持つチカラを以前よりも強く感じるようになりました。
最近は、料理をする時に音楽を流すことが多いです。
懐かしい曲を聴くと、その曲を何度も何度も繰り返し聴いていた当時の自分の姿がありありと思い出されます。
その当時のちっぽけででも強大だった悩みや葛藤、スニーカーを踏み潰した踵の感触や、消せない保護メールを読み返すくすぐったさが、台所で包丁を握りながら、色褪せずに何度も何度も私の中に蘇るのです。
「歌ってまるでタイムマシーンみたいだな」と、よく思います。
この歌のチカラは、特別な脳の思考回路を刺激して、過去と今とをシナプスで繋いでいるんじゃないかなと感じるほどです。
歌の中に入っているものは、きっと音と言葉だけじゃなくて、その曲を聴いていた時の景色や感触、匂いや感情まで、
自分を構成していたものが一緒にその歌の中に入っているのではないかと、感じてしまいます。
だから歌を聴けばタイムカプセルを開けるみたいに何度でも蘇る。
あの日が。あの気持ちが。あの子が。何度でも。何度でも私の中に。
そしてその魔法は、写真や動画の中にも宿っているのだと、子育てをするようになってから肌で感じるようになりました。
子どもたちが生まれてから撮り続けている写真や動画を見返すたびに、その当時の子どもたちが再生され、愛おしくて何度でも涙があふれます。
それと同時に、今日も私に、いつかお互いに忘れてしまうような、ささいな、まるで蜃気楼のような、私たちだけの泣き笑いの思い出を振りまいてくれている子どもたちの存在に、涙がにじむのです。
今回、みなさんの大切なお子さんの思い出の写真にのせて、子育てという宝物のような時間を共有し過ごしているみなさんのことを思い浮かべながら歌詞を書かせていただきました。
そんなことができるなんて、まるで夢のような経験でした。
歌詞を書くにあたり自然と、これまでの講演会やセミナーに来てくださったたくさんの方々や、想いや悩みを打ち明けたメッセージを私にくださったたくさんの方々のことを思い出していました。
「LICOさんのブログを読んだり、講演会で話を直接聞くと、『今を大切にしよう』と、子どもと過ごせる日々の尊さを噛み締められるのに、また日常の中にその気持ちが埋もれてしまってつい怒ってばかりです」という感想をよくいただきます。
忘れたくないことは間違いなくあるのに、私たちの……とくに母親になってからの毎日は、いつもたくさんのことを忘れながら過ぎているように感じませんか?
私は気づかぬうちに忘れてしまうことが数多くあるからこそ、その細部を残しておけたらと思い、今回の「わすれないで」という詩を書きました。
「わすれないで」とは、私から世の中のママたちへの想いでもあり、ママの立場から抱くであろう子どもたちへの想いでもあります。そして、子どもがママに抱き続けている願いでもあります。
私たちの子どもと過ごすこの日々は、誰かの記憶に残ることも、カレンダーに記されることもない毎日かもしれません。
でも、そのいつか薄れ消え行く日々を、今、間違いなく子どもと共に生きている今があること、そのなんでもない日々がいちばん大切な親子の時間であること。
時に怒りすぎた自分の情けなさに涙する夜があったって、子どもと喧嘩する日があったって、また笑って抱きしめあって愛しい気持ちを分け合えたら、それでいいんだってこと。
そしてその日々は、他の誰とも同じじゃなくていいんだってこと。
そして「あなたでいいんだ」ということ。いつもそばにいてくれる「あなたがいてくれるだけでいいんだ」と、子どもが願っていることをお伝えしたくて。
どうかこの歌がたくさんの方に届きますように。
執筆者プロフィール
LICO(リコ)作家/子育てアドバイザー
「子どものこころが穏やかに育つ魔法の育児法」のタイトルで40000人以上の読者を持つ、京都在住アメーバオフィシャルママブロガー。
「子育てを大変だと感じる本当の理由」「夜泣きをするきみへ」「ママの毎日」などの記事が爆発的な人気となり、シェアがネット上で120万を超えるなど、その等身大の育児観は圧倒的な共感を呼ぶことに。
各種キュレーションの2015年上半期アクセス数ランキングにおいて、ブログ記事が殿堂入りを果たす。
ブログを通じてつながったママ達へのアドバイスが話題となり、各方面への講演会出演依頼が続出。
2017年4月現在、6歳の娘、4歳、2歳の息子を育てながら、講演活動、育児雑誌や育児サイトなどへの記事連載など幅広く活動している。
著書に『おだやかママの幸せ子育て法』(シリーズ2冊)、 『不安なあなたがゆっくりラクになるメッセージ』(すべて主婦の友社刊)。